コンクリートの劣化 (1)
今回からコンクリートの劣化について書いていきたいと思います。
今回は、コンクリートの中性化についてです。
コンクリートが中性化すると何かまずいことがあるのでしょうか?
建造物で使われているコンクリートの中には鉄筋(鋼材)が入っています。(鉄筋の入っていない無筋のものもあります)
コンクリートが中性化する事により、コンクリート強度が弱くなることはありませんが、コンクリートの中性化が進むことにより内部の鉄筋に錆びが発生し、コンクリートを破壊してしまうことに問題があります。
健全なコンクリートには水酸化カルシウムという物質が含まれており、高いアルカリ(pH12以上)状態を保ち、鉄筋は不動態皮膜という薄い酸化化合物の皮膜により保護されている状態にあります。高いアルカリ状態が続く限り、鉄筋は保護されていますが、中性化が進み鉄筋の不動態皮膜が破壊されると錆びが発生してきます。
空気中には、二酸化炭素が含まれているため、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応し、炭酸カルシウムが生成され、高アルカリの状態から酸性へ傾いて(pH9以下)鉄筋が錆び易くなってきます。中性化というより炭酸化と言うほうが正しいかもしれません。
建物の外部と内部では、中性化の深さ(速度)にも違いが出てきます。以外にも、内部(室内)のほうが中性化が進んでいます。それは、大気中の二酸化炭素濃度の違いが要因のひとつで、人が呼吸することで二酸化炭素が放出されており、外部より内部のほうが二酸化炭素濃度が高いためです。
と、今回はここまでといたします。